イタリア語の発音についての覚え書き

  • 2019.01.13 Sunday
  • 23:27
【レチタティーヴォの発音と歌い方】

受験生や若い歌い手をレッスンしていると「レチタティーヴォの歌い方がよくわかりません」と質問されることがよくある。
音程やリズムをきちんと歌っているのに「レチタティーヴォらしくない」「イタリア語がまずい」と指導をうけるが、どうやればよくなるのかが分からないという訳だ。

答えはシンプルで「イタリア語のテキストを理解して表現すればよい」である。

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ここからはシンプルな答えがわかるだけでなく、出来るようになりたい人向けのお話。

そもそもレチタティーヴォはオペラ誕生のコンセプト「レチタル・カンタンド」の歌唱法と深い関わりがある。一般に「歌いながら演じる」と訳されるが、本質的には「セリフを語っているかのように聞こえる歌い方」を意味する。
つまり歌い過ぎなのだ。
このイタリア語でしゃべっているように歌う技を身に付けるにはふたつの側面から攻略する必要がある。

_山(歌唱)の側面から
∋蹇Φ唆覆力読の側面から

以上の側面を意識しながらレッスンを受けてレチタティーヴォの歌い方をマスターして行く。

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どんどん暗い森に迷い込んで不安になるどころか、もっと先を知りたくなった人へのお話。

_山(歌唱)の側面から
日本語のポップスをイメージすると分かりやすいが、メロディーラインをしっかり歌い上げる部分やことばが耳に自然に入って来る部分、ほぼ語っている部分があるはずだ。このようにネイティヴで音楽の素養があれば、ある程度自然にこの切り替えは難なくおこなえる。
私たちが外国語の歌を歌う場合、レチタティーヴォであってもいい声で歌い上げようとしてしまうので、イタリアの声楽教師から「歌い過ぎるな Non cantare troppo!」と指導されるのである。

まず歌い過ぎないためには、イタリア語をしゃべるように発する練習が必要になる。前にも書いたが、ペラペラとしゃべる必要はないが、ある程度イタリア語を発することに慣れなければならない。
イタリア語が話せれば自動的にレチタティーヴォが歌える訳ではない。まず、言語学的には母音の違いは舌の位置(調音点)と口の開きで決まるとされるが、歌う際には口の開きを大きく変化させる行為は響きの統一感を妨げる(ポジションがズレる)危険性があるし、オペラでは演技(表情)も大切なのであまり大きく動かさず、ニュートラルな状態にしておく。(例えば「u」の母音で必ず唇を丸くして前に出して歌う顔を想像して欲しい)要は腹話術のように、口を開けなくてもどの母音もクリアーに出せる技が必要となる。と同時に母音が変化しても音色や響きが変わらないようにしなければならない。例えば全音符で器楽奏者がロングトーンするように声をだしつつ、「a e i o u」と歌う練習などが役立つ。
子音については、言語学的には言うところの「聞こえの大きな子音」では可能な限り音程を付ける練習も欠かせない。さらには、イタリア語のアクセントは音節に置かれるので、子音+母音の音節では最初の子音からアクセントを置く、等々。
歌唱テクニックについてはここでは言い尽くせないのでまたの機会に。

∋蹇Φ唆覆力読の側面から
イタリア語によるオペラや歌曲のテキストはほぼ間違いなく韻文で書かれている。つまり、詩作法のルールに則って書かれたテキストである。音や響きに関するルールを知るためには韻律法の知識が必要となる。
誤解を恐れずに例えるなら、音楽家がすべからくソルフェージュを学ぶように、詩歌をプロフェッショナルに朗読したければ韻律を学び、実践に役立てるのだ。「韻律なんかやっても歌は上手くならない」と言われることもあるだろうが、「ソルフェージュをやっても歌は上手くならない」と同様の例えで、韻律やソルフェージュをならなくてよい理由にはならない。
リズムや音程を無視してはプロとは言えない。しかし、正確に再現するだけでも芸術とは言えない。
そして、韻律の枠組みのなかで厳選された単語の配列によって創り出された世界をいかに読み取り、再現できるかを目指すためのベースとして認識する必要がある。

ことばと音楽で表現する歌唱芸術に求められる様々な要素をいかに調和させ、演奏者本人の身体(楽器)を介して伝えるか。ここにこそ、声楽の魅力が詰まっている。一見、矛盾するような諸要素を、先人たちが築いてきたイタリア詩文学の伝統(知識、経験、作品)を知った上で、イタリア文芸の美的センスから見てより良い選択によって融合させる。
これがイタリア歌唱芸術の技のひとつとして存在している。






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